こんにちは、渕野です。
前回の記事「陶芸の焼成後に割れるその割れ方の違いとは?」で、
焼成した際に起こる磁器土の割れには2通りあるということを書きました。
今回は、そのうちの1つ、
磁器土の焼成、昇温時の割れについて
その原因の解説をします。
昇温時の割れは、多くの場合が乾燥に起因
この場合、素焼きが出来ているので大丈夫そうに見えるのですが、
作品の中に見えにくい亀裂もしくは空洞のような
亀裂が入るきっかけが存在してしまっています。
これが本焼の際、焼成収縮の開始によってはっきりとした割れとなって現れます。
割れの原因となる素焼き後の亀裂や亀裂のきっかけは、
乾燥時点ですでに存在するものの方が多く、
乾燥の際に無かったものは素焼きによってそれが発現します。
素焼き前から存在するものも、素焼きによって起こるものも、
どちらも乾燥が十分に出来ていないことに依ります。
乾いているように見えて、ほんの少しだけまだ湿っているということです。
もしかするとその時点ですでに亀裂らしきものがあるかもしれませんし、
その後の乾燥で亀裂が入ったり、あるいは素焼きで亀裂や亀裂の元を作ってしまったり、
結果として素焼き後には割れの要因が存在することになります。
亀裂もしくは亀裂が入るきっかけを無くすためには、
まずはしっかりと乾燥をさせることと、
厚い薄いの差がある作品であっても偏りなく厚い部分もきちんと乾かすことが必要です。
乾いているように見えて、ほんの少しだけまだ湿っているということがないように完全に乾かす。
基本的なことではありますが、
さまざまな形状・粘土の種類・天候条件など乾燥を行う際の状況はいつも同じではないため、
トラブルが起こった場合は乾燥の仕方を見直してみるとよいでしょう。
次に、素焼きの際に温度をすごくゆっくりと上げる。
いつも同じ症状が出る作品やそれに似た形状などはとくに、
室温から200℃までを非常にゆっくりと超スローペースで焼いてください。